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大阪地方裁判所 昭和59年(わ)4180号 判決

本店所在地

大阪市東淀川区上新庄二丁目一番三八号

株式会社水原組

(右代表者代表取締役)水原義弘こと白雲鶴

国籍

韓国

住居

大阪市東淀川区上新庄二丁目七番三号

会社役員

水原義弘こと

白雲鶴

一九四七年五月四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人株式会社水原組を罰金六五〇万円に、被告人白雲鶴を懲役一〇月に、各処する。

一  被告人白雲鶴に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社水原組(以下「被告会社」という。)は、大阪市東淀川区上新庄二丁目一番三八号(昭和五七年六月四日以前は同区上新庄二丁目七番三号)に本店を置き、土木建築総合請負を目的とする資本金三〇〇万円(同年一月三〇日以降は一、〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人白雲鶴は、同社の代表取締役として同社の業務全般を統括しているものであるが、被告人白雲鶴は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の外注費及び労務費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五五年一〇月一日から同五六年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が五、四五五万二七二円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年一一月二六日、大阪市東淀川区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、二三〇万三九九円でこれに対する法人税額が八三五万五、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二、一九〇万五〇〇円と右申告税額との差額一、三五四万五、〇〇〇円を免れ、

第二  昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が五、八八九万四、九二九円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年一一月二六日前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、八六〇万五、四二四円でこれに対する法人税額が六七七万四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二、三六九万一、八〇〇円と右申告税額との差額一、六九二万一、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人白雲鶴の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調査

一  収税官吏の同被告人に対する質問てん末書一〇通

一  金文子、酒井幸雄、宮内高志、安田友重の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏の金文子(七通)、酒井幸雄(五通)、矢島公夫(四通)、足立文治、北村富広、宮内高志、安田友重に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書二〇通

一  大蔵事務官作成の証明書

一  被告会社作成の法人税確定申告書謄本二通

一  大阪法務局登記官風見源吉郎作成の法人登記簿謄本

一  収税官吏作成の脱税額計算書二通

(法令の適用)

被告人白雲鶴の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当し、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人白雲鶴を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人白雲鶴の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金六五〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正損益計算書

自昭和55年10月1日

至昭和56年9月30日

〈省略〉

修正損益計算書

(工事原価)

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

自昭和56年10月1日

至昭和57年9月30日

〈省略〉

修正損益計算書

(工事原価)

〈省略〉

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